国内レポート




2014年概観&周囲の人々に働きかけるアクションの参考事例(早稲田大学)

2006年から世界的に始まり、2009年には1億7千万人が参加し、世界同時アクションとしてギネス記録を更新したSTAND UP TAKE ACTION(スタンド・アップ)も、2014年が最後となりました。

2013年から国際的にはキャンペーンの焦点が、ポストMDGs(ポスト2015年開発目標:ポスト2015)をより良い物にするためのものに移り、2014年のスタンド・アップの実施は日本のみとなりました。そうした流れの中、これまで日本でスタンド・アップ キャンペーンの企画、実施を行ってきた「動く→動かす」は、MDGs達成を最後まで後押しすべきと考え、また日本では毎年多くの方々がスタンド・アップに参加していることもあり、2014年もスタンド・アップを通じてMDGs達成を訴え続けることを決めました。

ただ、MDGsの達成期限は2015年となっているため、キャンペーンとして有効な活動ができる2014年をスタンド・アップ実施最終年としました。

ポストMDGsに関しては、2013年からスタンド・アップ キャンペーンの目的のひとつに含めて追求してきました。そして2014年は、MDGsからポストMDGsへ国際目標が引き継がれていくことを念頭に、より良い社会を次の世代へ引き継いでいくことを訴えるため、写真エントリーに「ファミリー・スタンド・アップ」というカテゴリーを設けました。

参加者数については上の図にある通りですが、日本以外ではスタンド・アップが行われなかったため、「動く→動かす」が呼びかけてそれに応えた(日本のSTAND UP TAKE ACTIONウェブサイトに登録した)3万2386人が2014年の世界全体の参加者数となります。スタンド・アップは、最後は日本での実施でその歴史に幕を閉じたことになります。

その結果ですが、参加者数は3万2386人と昨年の3万4879人よりも2493人の減少でした。これは、10月の最初と2回目の週末が台風に見舞われ、グローバルフェスタといった大型イベントから小規模なイベント、行事までが中止となってしまった影響もありました。

しかし件数は、過去最高の1442件を記録しました。これは、特にガールスカウトやリコー・グループの方々、「動く→動かす」加盟団体であるオックスファム・ジャパンやプラン・ジャパンのキャンペーン協力が強い後押しとなりました。また、大学生の活躍も目立っていました。

そんな中から今回は、みなさんが学校や地域で周囲の人々に呼びかけ巻き込んでいく活動を行う時のための参考に、早稲田大学の大学生が実施して95件、505人のスタンド・アップに成功したケースを報告したいと思います。

  【早稲田大学でのスタンド・アップ プロジェクトはいかにして達成されたか】

このプロジェクトの企画・実施内容を詳しく知るため、先日早稲田大学4年生の本澤絢子さんと川上愛さんにお話しを聞きました。おふたりは、文化構想学部社会構築論系で国際開発論を学ぶ髙橋ゼミに所属し、プロジェクトはゼミの4年生13人で協力して行ったとのことでした。

髙橋ゼミでは、3年までは調べて、読んで、考えて、書くという「デスクワーク」に集中的に取り組んできたそうです。そして4年は何か動いていこうということになり、何をするか学生たちの間で検討する中で出てきたのがスタンド・アップだったとのこと。今年でスタンド・アップが最後ということもあり、早大生をスタンド・アップさせるプロジェクトに取り組むことが決まったそうです。途上国の抱える問題についてあまり知らない人には知るきっかけを、すでに知っている人には自ら動き出すきっかけを与えるということを活動目的に設定しました。

このプロジェクトが決まったのは5月で、まずはMDGsについてしっかりとおさらいをし、ほかの人にもきちんと説明ができるようにするため、再び知識を蓄える作業からスタートしました。そして同時に、プロジェクトの内容や実施方法について議論を行い、夏くらいまでは企画立案とパンフレット制作作業が続いたそうです。パンフレット制作では、活動の参加者全員に配るA4三つ折りパンフレット(右の写真)と、途上国の現状や国際開発についてより詳しく知りたいという参加者に渡す冊子の2種類を作成しました。そして、それらのパンフレットができたのが9月に入ってからで、活動は学内でこのパンフレットを活用して行われました。

「最初は結構簡単に考えていました。国際協力に関連する授業の先生にお願いしておけば、大きな授業では200人や300人の授業もあるので、すぐにたくさんの参加者が集められると思っていました」、と本澤さんは言います。しかし現実は厳しかったそうです。「先生方には快く了承していただき、私たちは授業の最後に数分間説明の時間をいただきました。しかし、撮影の時になると結構帰ってしまう学生が多くて……。300人の授業でも、30人しか残ってくれないこともありました」

そんな経験が何度か続く中、出てきた改善案が大きく分けて2つありました。ひとつは、授業後の撮影手法の変更、もうひとつは、撮影場所の変更でした。

「授業後に帰ってしまう、あるいは、撮影の呼びかけにも集まってくれないという経験を何度かするうちに思いついたのは、教室の中央に集めずに撮影するということでした」。こう言いながら本澤さんが説明してくれたのは、教室では、仲の良い人々同士でグループで固まって座っているという点でした。そのため、全体に向けたスタンド・アップの説明が終わった後に、グループで座っているところへ行ってお願いしてグループごとで写真を撮るという方法をとったそうです。「写真を撮るので教室中央に集まってくださいと呼びかけても、授業のコメントカードを記入している人もいて動けない人もいるので、グループごとに撮ってしまうことにしました」。確かに、移動するという一手間を省くことにより参加へのハードルは低くなるでしょう。また、撮影者が個々のグループのところに行って話すことでより強い思いが伝わったのかもしれません。

このグループフォトによって以前よりも参加人数は増えたそうですが、もっと集めたいと考えたゼミ生たちは、「ゲリラ撮影」を行うことにしました。これは、教室から大学内に撮影場所を移し、昼休みの間に校内を歩き回り、周囲にいる学生たちに声をかけて参加してもらうというやり方です。2日間実施し、これで247人の参加者を得られたそうです。川上さんは、「校内で学生に声をかけて撮影交渉するのは不安でしたが、思ったよりうまくできて良かったです。あまり断られることもなく、8割くらいの人がOKしてくれました。声をかけやすかったのは、食後にゆっくりしている人たちでした」と説明します。「グループに話しかけると、グループみんなで目配せしながら『やる?』となります。その時1人でも『やろう』と言う人がいれば、グループ全員で参加してくれます。逆に1人でも『いやだ』という人がいれば、グループ全体が撮影しないということになってしまいます」。その時に重要だったのは、これまで撮った写真を見せたりといった説明的なこと以外にも、明るくアプローチすることで和やかな雰囲気を作るということだそうです。

活動しながらのトライアンドエラーで、いろいろと気づいたり、手法にも修正を加えていったそうです。例えば授業の方では、学期の最初の授業が狙い目だということが分かったそうです。まだオリエンテーションの時で比較的授業内容にも余裕があり、出席する生徒が多いので有効とのことでした。そしてゲリラ撮影では、キャンペーンの説明をきちんとしつつも、手早くシンプルな説明を心がけ、普段あまり使わないような言葉(例えばジェンダー、エンパワメントなどの横文字)は使わずに、撮影も短時間ですませるといったことが活動していく中で分かってきたそうです。

おふたりは今回の活動を通じて、実際に活動する重要性が理解できたと感想を述べていました。他人に分かりやすく説明するには、自分が説明しようとすることを十分理解している必要があることを強く実感し、友人知人などではない知らない人々に動いてもらうには、自分がそれ以上いろいろと動き回る必要があることなど、身をもって学んだそうです。物事を変えていくには、知識を蓄積する、パソコンの前に座っているだけではダメだと感じたそうです。

 (画像をクリックするとFacebookにジャンプします)

4月からは大学を卒業してそれぞれ新たな進路に進む13人のゼミ生にとって、思い出深い活動になったようです。

これを読んでるみなさんも、今後何かの機会に周囲の人、あるいはまったく知らない人々を巻き込んで行動を促す必要が出てくるかもしれません。しっかりと計画を立て、他の人を巻き込むために必要な準備を十分し、状況に合わせて自分たちから柔軟に対応していく姿勢を持って臨むこと。その大切さが、今回の事例から伝わってきます。

(福岡の西南学院大学の取り組みもぜひ参考にしてください ブログ
   

イベントピックアップ

スタンド・アップの期間中、そして期間後には特にポスト2015に関してさまざまなイベントが実施されました。主なものをここでご紹介します。本文に★がついているイベントは、写真をクリックするとブログにジャンプします。

 
「トイレから始めるより良い世界
-MDGs達成期限まで500日で何ができるのか」

 
シンポジウム「ポストMDGsの今が分かる!」
今年8月19日、ミレニアム開発目標達成期限まで残された時間が500日となりました。このことを知らせ、私たちに残された課題についてトイレを通じて考えるため、5人のゲストを招いてイベントを行いました。ちょうどこの時期に日本科学未来館では「トイレ? 行っトイレ!~ボクらのうんちと地球のみらい」という企画展が行われており、その展示企画担当者をはじめ約70人の方々にご参加いただきました。ゲストは、加藤篤さん(日本トイレ研究所)、森裕介さん(日本国際民間協力会)、田中雅子さん(上智大学)、吉森悠さん(シェア=国際保健協力市民の会)、高橋郁さん(ウォーターエイドジャパン)で、「日本のトイレ:現在・過去・未来」「マラウィの村でエコサントイレをつくる」「女性にとってのトイレ」「トイレと子どもたち」「25 億人のトイレがない人々の未来」と題してそれぞれお話しいただきました。その後はゲストと参加者も一緒にグループディスカッションを行いました。(8月24日)

  ポストMDGsの最新情報と、多様なセクターからの意見を共有し、ポストMDGsの方向性を考えていくためにシンポジウムを行いました。第1部では、大菅岳史さん(外務省)、星野智子さん(環境パートナーシップ会議)、当会事務局長の稲場雅紀から国連総会関連の報告がありました。第2部では、赤堀久美子さん(リコー)、森秀行さん(地球環境戦略研究機関)、吉村翔平さん(日本国際保健医療学会・学生部会)、曽田夏記さん(国際協力機構)、浅村里紗さん(ジョイセフ)、井田徹治さん(共同通信社)にご登壇いただき、それぞれの立場と専門から、ポストMDGsのあり方や期待、課題についてお話しいただきました。それに対して、ポストMDGsの認知度アップに向けた課題(各アクターのにおける意識向上やメディアの報道戦略)、目標数が増えたことにどんなシステムで対応できるのか、国内と海外の課題の結びつけ方、などの質問が出て、活発なやりとりがありました。(10月4日)

STAND UP TAKE ACTION「渋谷パレード2014
一緒に歩こう!貧困・格差のない世界をめざして」
  STAND UP TAKE ACTION「渋谷パレード2014
一緒に歩こう!貧困・格差のない世界をめざして」
★さまざまなセクター/分野における課題や問題を発信して一般の人々に広く知らせるとともに、政府に対して問題解決の取り組みを求めるため、集会とパレードを企画しました。しかし、パレードは台風接近にともない中止となり、集会のみ行われました。まず最初に、音楽とパフォーマンスで国際協力活動を行っている2つのグループ「GOSPEL SQUARE with Shanita」「アースデイwithマイケル」のパフォーマンスが行われました。写真はアースデイwithマイケルのダンスです。(10月13日)
  ★パフォーマンスの後は、ゲストスピーカーの近藤哲生さん(国連開発計画駐日代表)、雨宮処凛さん(作家・活動家)、ソニー・ウチェ・ウニグエさん(ナイジェリア国立大学附属病院感染症内科医、エヌグ州エボラ出血熱感染予防トレーナー)、根本かおるさん(国連広報センター所長)より、MDGsの現状とポストMDGsの重要性、日本とナイジェリアの貧困問題の現実に関するお話しがありました。国連、NGO、政府から住民まで、各セクター間の協力の重要性を感じる時間となりました。(10月13日)

SHOBI DANCE CREW/“HIPHOPのダンスショー×STAND UP TAKE ACTION★ラスト・キャンペーン★”
(よこはま国際フェスタ2014)
  SHOBI DANCE CREW/“HIPHOPのダンスショー×STAND UP TAKE ACTION★ラスト・キャンペーン★”
(よこはま国際フェスタ2014)

★10月18日、19日と横浜の象の鼻パークで行われたよこはま国際フェスタ2014。スタンド・アップの最終日となる19日には、フィナーレを飾るステージを行いました。このステージ、昨年のフェスタで実施する予定でしたが、悪天候のためよこはま国際フェスタが途中で中止となり実施できませんでした。今年は非常に良い天気に恵まれ、多くの方が尚美ミュージックカレッジのダンスクルー50人のスタンド・アップをテーマにしたダンスを楽しみました。(10月19日)
(昨年の嵐の中のリハーサルの様子はこちら

 
  ★1回目のダンスの後には、「動く→動かす」とよこはま国際フェスタの大学生インターンによる講演です。MDGsの解説、スタンド・アップの説明、私たちができる身近な国際協力への呼びかけが、2回目のダンスをはさんで行われました。司会は初めて、そしてコンビを組むのも初めてというふたりでしたが、初々しくも良い味を出していました。そしてステージの最後にはスタンド・アップを行いました。(10月19日)
(第1日目の10月18日の様子はこちら
ミレニアム開発目標(MDGs):女性がヒカリ輝く社会へ!
~地域が動く・地域を動かす~2
  身の丈のグローカル
~私が国際協力の現場で出逢った女性たち~

三重県津市で、三重ユニセフ協会、三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」、(公財)ケア・インターナショナル ジャパンの共催でイベントが行われました。「動く→動かす」の加盟団体のケア・インターナショナル ジャパンの武田事務局長のMDGs、ポストMDGsに関する講演のほか、ユニセフの講演、ワークショップが行われました。(9月15 日)

  福岡では、NGO福岡ネットワーク主催のイベントが開催されました。途上国の現場で長年活動してきた講師のお話の後、講師とファシリテーターが現場での活動とMDGsの結びつきに関してディスカッション。そしてその後は参加者を5つのグループにわけてグループディスカッションが行われました。(10月11日)

かわごえ国際交流フェスタ2014
  「清水寺から世界へ!~思いやりの心と平和の輪~」
★これはスタンド・アップ期間後になりますが、埼玉県川越市にある蓮馨寺で行われたかわごえ国際交流フェスタに出展しました。MDGsとスタンド・アップの説明を行うとともに、ポストMDGs(ポスト2015年開発目標)に向けて国連が行っている市民の意見を集めるアンケートMY WORLDを行いました。地元のボーイスカウトの方々にお手伝いいただき、74人から回答を得ました。結果はブログをご覧ください。回答いただいたアンケートは、「動く→動かす」事務局で責任を持ってMY WORLDに登録しました。(11月9日)

  こちらも期間後の実施ですが、昨年に続き京都の清水寺にて「動く→動かす」が協力して国際協力イベントが行われました。地元のNGO、中学校、高校、バレエ団が一緒になり、京都から身近な国際協力について紹介するイベントです。今年のテーマは「思いやり」で、各団体工夫を凝らして参加していました。写真は、高校生による弾き語り。授業で習った世界のこと、自分の感じたことを率直に語っていました。「動く→動かす」は未来の世代へ思いやりを持って次の国際開発目標を決めるべきと考え、かわごえ国際交流フェスタに続いてMY WORLDのアンケートを行いました。清水寺では、京都のガールスカウトの方々にお手伝いいただき、163人から回答を得ました。結果はブログをご覧ください。(11月16日)

 



スタンド・アップのフォトコンテストについてはこちらをご覧ください。

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